青検 - 竹久夢二
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朝. 竹久夢二. ある春の朝でした。 太陽は、いま薔薇色(ばらいろ)の雲をわけて、小山のうえを越える所でした。 小さい子供は、白い小さい床(ベッド)の中で、まだ眠って居(お)りました。 「お起き、お起き」柱に掛った角時計が言いました。 ...
ある眼. 竹久夢二 「あんな娘をどこが好いんだ、と訊かれると、さあ、ちよつと一口に言へないが」さう云つて、画家のAは話し出した。 彼女はただ普通のモデル娘として、私の画室に通つてきてゐたのです。 私も特別、彼女に注意を払つてもゐませんでした。 ...
夜. 竹久夢二. 日が暮れて子供達(たち)が寝床へゆく時間になったのに、幹子(みきこ)は寝るのがいやだと言って、お母様を困らせました。 「さあ、みっちゃんお寝(やす)みなさいな。 雛鳥(ひなどり)ももうみんな寝んねしましたよ」 ...
大きな蝙蝠傘. 竹久夢二. それはたいそう大きな蝙蝠傘でした。 幹子(みきこ)は、この頃(ごろ)田舎(いなか)の方から新しくこちらの学校へ入ってきた新入生でした。 髪の形も着物も、東京の少女に較(くら)べると、かなり田舎染みて見えました。 ...
はしがき. 竹久夢二. 少年達のため挿絵をかきながら、物語の方も自分でかいて見ようと思立(おもいた)って、その頃(ころ)まだ私の手許(てもと)から小学校へ通っていた子供をめやすにかいたのが巻頭の数篇です。 中学へ通うよう ...
風. 竹久夢二. 風が、山の方から吹いて来ました。 学校の先生がお通りになると、街で遊んでいた生徒達(たち)が、みんなお辞儀をするように、風が通ると、林に立っている若い梢(こずえ)も、野の草も、みんなお辞儀をするのでした。 風は、街の方へも吹いて来ました。 ...
砂がき. 竹久夢二. 十字架 "神は彼を罰して. 一人の女性の手に. わたし給へり" ああ、 わが負へる. 白き十字架。 わが負へる柔き十字架。 人も見よ。 わが負へる美しき十字架。 心飢ゆ. ひもじいと言つては人間の恥でせうか。 垣根に添うた ...
大きな手. 竹久夢二. ある郊外、少女Aと少女Bの対話. A まあ、あなたの手は綺麗(きれい)なお手ねえ。 白くって、細くって、そしてまあこの柔かいこと。 マリア様のお手のようだわ。 B そうでしょうか? A あら、あなたはそうは思わなくって? ...
春. 竹久夢二. 時. ある春の晴れた朝. 所. 花咲ける丘. 人物. 少年 (十三歳位) 少女 (十一二歳) 先生 (小学教師) 猟人 (若き遊猟家) 兎 (十二三歳少女扮装) 舞台は、桜の花など咲いた野外が好ましいが、 ...
博多人形. 竹久夢二. お磯(いそ)は、可愛(かあ)い博多人形を持っていました。 その人形は、黒い眼(め)と薔薇色(ばらいろ)の頬(ほお)を持った、それはそれは可愛(かあい)らしい人形でありましたから、お磯はどの人形よりも可愛がっていました。 ...
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