青検 - 岡本綺堂
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岡本綺堂. 上 「来年は丑(うし)だそうですが、何か牛に因(ちな)んだようなお話はありませんか。 」と、青年は訊く。 「なに、丑年.。君たちなんぞも干支(えと)をいうのか。 こうなるとどっちが若いか判らなくなるが、まあいい。 ...
百物語. 岡本綺堂. 今から八十年ほどの昔——と言いかけて、O君は自分でも笑い出した。 いや、もっと遠い昔になるのかも知れない。 ... 底本:「異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二」原書房. 1999(平成11)年7月2日第1刷 ...
鼠. 岡本綺堂. 一. 大田蜀山人の「壬戌(じんじゅつ)紀行」に木曾街道の奈良井の宿のありさまを叙して「奈良井の駅舎を見わたせば梅、桜、彼岸ざくら、李(すもも)の花、枝をまじえて、春のなかばの心地せらる。 駅亭に小道具をひさぐもの多し。 ...
西瓜. 岡本綺堂. 一. これはM君の話である。 M君は学生で、ことしの夏休みに静岡在(ざい)の倉沢という友人をたずねて、半月あまりも逗留していた。 ... 底本:「異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二」原書房. 1999(平成11)年7月2日第1刷 ...
岡本綺堂. 一 「番町の番町知らず」という諺(ことわざ)さえある位であるから、番町の地理を説明するのはむずかしい。 ... 底本:「異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二」原書房. 1999(平成11)年7月2日第1刷. 初出: ...
怪獣. 岡本綺堂. 一 「やあ、あなたも.。」と、藤木博士。 「やあ、あなたも.。」と、私。 これは脚本風に書くと、時は明治の末年、秋の宵。 場所は広島停車場前の旅館。 登場人物は藤木理学博士、四十七、八歳。 私、新聞記者、三十二歳。 ...
穴. 岡本綺堂. 一. Y君は語る。 明治十年、西南戦争の頃には、わたしの家(うち)は芝の高輪(たかなわ)にあった。 わたしの家といったところで、わたしはまだ生まれたばかりの赤ん坊であったから何んにも知ろう筈はない。 これ ...
鯉. 岡本綺堂. 一. 日清戦争の終った年というと、かなり遠い昔になる。 もちろん私のまだ若い時の話である。 夏の日の午後、五、六人づれで向島へ遊びに行った。 そのころ千住の大橋ぎわにいい川魚料理の店があるというので、夕飯をそこで食うことにして、 ...
鷲. 岡本綺堂. 一. 今もむかしも川崎の大師は二十一日が縁日で、殊に正五九(しょうごく)の三月(みつき)は参詣人が多い。 江戸から少しく路程(みちのり)は離れているが、足弱(あしよわ)は高輪(たかなわ)あたりから駕籠(かご)に乗ってゆく。 ...
虎. 岡本綺堂. 上 「去年は牛のお話をうかがいましたが、ことしの暮は虎のお話をうかがいに出ました。 」と、青年は言う。 「そう、そう。 去年の暮には牛の話をしたことがある。 」と、老人はうなずく。 「一年は早いものだ。 そこで ...
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