青検 - 国枝史郎
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隠亡堀. 国枝史郎. 一 「伊右衛門(いえもん)さん、久しぶりで」 こう云ったのは直助(なおすけ)であった。 今の商売は鰻掻(うなぎかき)であった。 昔の商売は薬売であった。 一名直助権兵衛(ごんべえ)とも呼ばれた。 「うん、暫く逢わなかったな」 ...
名人地獄. 国枝史郎. 消えた提灯(ちょうちん)、女の悲鳴 「.雪の夜半(よわ)、雪の夜半.どうも上(かみ)の句が出ないわい」 寮のあるじはつぶやいた。 今、パッチリ好(よ)い石を置いて、ちょっと余裕が出来たのであった。 「まずゆっくりお考えなされ。 ...
生死卍巴. 国枝史郎. 占われたる運命は? 「お侍様え、お買いなすって。 どうぞあなた様のご運命を」 こういう女の声のしたのは享保十五年六月中旬の、後夜(ごや)を過ごした頃であった。 月が中空に輝いていたので、傍らに立っている旗本屋敷の、家根の甍(いらか) ...
三甚内. 国枝史郎. 一 「御用! 御用! 神妙にしろ!」 捕り方衆の叫び声があっちからもこっちからも聞こえて来る。 ... 底本:「銅銭会事変 短編」国枝史郎伝奇文庫27、講談社. 1976(昭和51)年10月28日第1刷 ...
稚子法師. 国枝史郎. 一. 木曽の代官山村蘇門は世に謳(うた)われた学者であったが八十二才の高齢を以て文政二年に世を終った。 謙恭温容の君子であったので、妻子家臣の悲嘆は殆ど言語に絶したもので、征矢野(そやの)孫兵衛、村上 ...
犬神娘. 国枝史郎. 一 ... ( と、洛東清水寺成就院(じょうじゅいん)の住職、勤王僧月照(げっしょう)の忠実の使僕(しもべ)、大槻(おおつき)重助は物語った)さて裏門から出て見ますると、 ... 底本:「怪しの館 短編」国枝史郎伝奇文庫28、講談社 ...
戯作者. 国枝史郎. 初対面 「あの、お客様でございますよ」 女房のお菊(きく)が知らせて来た。 「へえ、何人(だれ)だね? 蔦屋(つたや)さんかえ?」 京伝 ... 底本:「国枝史郎伝奇全集 巻五」未知谷. 1993(平成5)年7月20日初版発行 ...
剣侠. 国枝史郎. 木剣試合. 1. 文政×年の初夏のことであった。 杉浪之助(すぎなみのすけ)は宿を出て、両国をさして歩いて行った。 本郷の台まで来たときである。 榊原式部少輔(さかきばらしきぶしょうゆう)様のお屋敷があり、お長屋が軒を並べていた。 と、 ...
二人町奴. 国枝史郎. 1 「それ喧嘩だ」 「浪人組同志だ」 「あぶないあぶない、逃げろ逃げろ」 ワーッ[#「ワーッ」は底本では「ワーツ」]と群衆なだれを打ち、 ... 底本:「国枝史郎伝奇全集 巻六」未知谷. 1993(平成5)年9月30日初版発行 ...
首頂戴. 国枝史郎. 一. サラサラサラと茶筌の音、トロリと泡立った緑の茶、茶碗も素晴らしい逸品である。 それを支えた指の白さ! と、茶碗が下へ置かれた。 茶を立てたのは一人の美女、立兵庫にお裲襠(かいどり)、帯を胸元に結んでいる。 凛と品のある花魁 ...
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